ママになった近所の猫
実家で飼うペットといえば犬か小鳥、猫は「家の中がジャリジャリするから」という理由で飼うことが許されませんでした。うちの母は土足で(当然ですが)家に上がる猫が、どうしても許せなかったのです。でも友だちの家で飼っている猫が可愛くて、一度は猫を買ってみたいなとずっと思い続けてきました。
結婚して自分の家を持ったら飼えるかも、と期待していましたが残念ながらいまだにアパート住まいでもちろんペットは禁止、猫を飼えるのはいつになるかは分かりません。
しかし、自分が飼わなくてもよその家で飼っている猫と触れ合うことが出来るようになりました。近所の一軒家で飼っている三毛猫が、ウチのベランダに遊びに来るようになったのです。三毛猫はほとんどがメスだということですが、その子も確かにメスでした。遊びに来るというよりも、毎日の散歩の通路になっているだけなのかもしれませんが、大体時間が決まっているので、その時間になると私はそわそわしてしまいます。本当はいけないのかもしれませんが、チーズをあげたりサラダチキンを残しておいて端っこをあげたり、猫も美味しいものにつられて私になつくようになりました。
そんな風に余分なものを食べさせてしまったからなのか、その猫は日を追うごとに体格が良くなって、つまりどんどん太っていったのです。すっかりメタボ体形になってしまったので、飼い主さんにバレたらヤバい事になるかも、とヒヤヒヤしました。でも、甘い声で鳴かれるとやっぱりチーズをあげたくなるし、すり寄って来て尻尾を立てられるとウチの子になったみたいで突き放すことなんて出来ませんでした。
ところが、ある日を境にぷっつり猫は来なくなったのです。メタボが進行して病気になってしまったんじゃないかと、心配な気持ちもあったし後悔する気持ちもあり、モヤモヤする毎日を送ることになりました。
飼い主から苦情が入るかもしれない、引っ越すことになるかも・・・とまで考えたのですが、それは取り越し苦労でした。1ヶ月ほどして、再び三毛猫がベランダに来るようになったのです。あれほどむっちりしていた体はスリムになり、そして以前は目立たなかったおっぱいが、はっきりと「仕事をしている」と確認できたことで、猫がママになっていたというのが分かりました。取り合えずメタボが私のせいではなくて良かったです。今に子猫も連れてきてくれるかな?と期待して、いつもの倍量のチーズをあげて、新米ママ猫をねぎらいました。